第41回中小企業家同友会青年経営者全国交流会in東京
第41回中小企業家同友会青年経営者全国交流会in東京に島根から参加してきました。
昨年の島根大会からの引き継ぎお礼として島根からは15社参加しましたが、島根の1.000社弱を大きく上回る1.600社の参加。さすが東京。
もちろん、観光気分ではなく例会での学びと若手経営者との交流が目的地であったが、今回参加した分科会の報告が素晴らしく、また記念講演ではあのマザーハウスの山口絵理子氏が講演されるとあって、ダブルの素晴らしい気づきと学びがあり、個人的には大収穫の大会になった(^^)
先ずは、第6分科会で報告された(株)アートエンディングの西本社長の報告。
西本社長は葬儀ビシネスに創業者として新規のチャレンジを続けていらっしゃるが、業界の常識にとらわれない逆転の発想で、毎年120%UPと離職者ゼロ、下請け仕事ゼロ、借金ゼロと言う素晴らしい経営をしています。他者との差別化は人材育成!と言う掛け声の元、理念共感型採用を貫き、採用段階から自社の考えに合う人材しか採用しない方針を打ち出し、幹部候補社員の獲得と育成を着実に実行している。
「わが社で働くとは、家族になること」と言ってはばからない社員への愛情と社員の為の3つのゼロを社是として好循環を生み出しているアートエンディング。公開早朝勉強会や経営計画づくりの勉強会など、社員が自主的に学ぶ環境つくりに腐心され、社員教育にも熱心に取り組んでいる。
人の葬儀を取り仕切る「葬祭ビジネス」にとって何よりの差別化は、運営スタッフがどれだけ遺族に寄り添えるかの運営力=人間力であろう。そのための人材発掘と教育がこの会社の肝であることを明確にとらえ、仕組化を進めているところに今後の大いなる発展を期待させる。
そして、山口氏の記念講演。
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を旗印(理念)に、今や全国、台湾などにショップ展開するマザーハウス。自分の想いに愚直に突き進む「主観力」で、モノづくりの理念(良い製品を作る)を途上国の人たちに植え付け、育て、自ら製造工場を築くまでに至った経緯は想像を絶する過酷なものであった。しかし、今では労働者の顔から職人の顔つきに変化した現地の人たちと共に、妥協なきモノづくりへと一丸となって歩んでいる。
とかく、世間からの目や慣習に行動を制限させられ(或いはそれを言い訳にして)、本来目指すべき自社の価値をとことん研ぎ澄ませる活動を中途半端に終わらせてしまいがちであるが、自分の想いを貫き通す信念と継続力があれば「ブランド」を構築できる域に達するのだと改めて感じた。今後の目標は、この途上国の次世代の教育が必要であるとの考えから学校建設を進めていこうとしていらっしゃる。これこそ、途上国からのブランド発信の根本であると力説する山口氏の言葉に、理念と事業の整合性を見て取れた。実にすばらしい経営者である。
翌日、新宿小田急百貨店マザーハウスの店舗に足を運んだ。普段、バッグなどにあまり興味のない人間が店員さんの説明に熱心に耳を傾け商品愛を持って製品を見ていた。商品への愛情やその背景にある開発秘話などの感動ある知識如何で、人はそのブランドへの価値を一段も二段も上げてしまうのだ。製品の良し悪しは言わずもがなだが、良い製品には必ず作り手の想いや努力があり、それをさりげなく伝えていくことも併せて行うことが「ブランド」作りには欠かせない。
「売ろう」ではなく、「伝えよう!私たちを!」である。もう一度、自社について見直すきっかけをいただいた貴重な講演であった。
来年は奈良大会。
島根から東京へ渡ったバトンは奈良へと引き継がれた。