気持ちを揃える

企業のトップとして、自社がどういう状態であるかを常に把握することは大切だ。
状態把握には様々な指標があるが、数字の把握以上に大切だと感じるのは
社員の状態把握。
チームとして同じ目標にまい進していくならば、一日の始まりにその状態を確認し
気持ちを揃えてスタートを切りたい。

そこで重要だと考えるのは、朝の朝礼。
当社では、経営理念と行動指針の唱和を朝礼で行うことを今年の4月から始めた。
何故か。
チームの一員としての方向性を共有して、一丸となれる集団にしたいと思っていたからだ。

理念指針の作成には約半年を要した。
自社分析から未来の理想の企業像を描き、三方善を網羅するものを作りたかったからだ。
そして、その題目一つ一つに解釈を付けた。
この言葉(文章)を紡いだ理由をわかってもらいたかった。
作成中から理念唱和に至るまで、自分の想いを伝え続けた。
何故、このような行動が必要であるかを。
そして、今日から始まるという時には、もう社員の間では「ま、つきあってやろう」くらいには
啓発できていたのだろう。スムースな導入ができた。

そして唱和もそらで言えるようになった半年が経った今、
始めたのが、「1分間スピーチ」
1か月前に導入を発表した時の社員の顔は、苦笑と困惑に満ちていたが
言い出したらきっと始める、というあきらめもあったのか2週間後の開始時には
これまたスムースな滑り出し。
もう2週間が経つが、僕が一番楽しみな瞬間になった。

何故、スピーチを始めたか。
別に嫌がらせでもなんでもない。
だた、社員さんの感性に触れたかっただけなのだ。
改めて思うことがあった。
「この人はどんな人なんだろう?」と。
長く勤めていただいている大切な社員の上辺の上辺しか知らない自分。
チームの長として、これはまずい。
一人一人の人となりをある程度は知っておきたいと思った。

どんな性格か。
どんな趣向の持ち主か。
好きな食べ物は。
どんなことに関心がある人か。
家族とはどんな関係か。

などなど・・・

その人の声と伝え方で知りたいと思った。
その話し方や話題によって、少しずつ近づいていきたいと思った。

ここでは、話術の巧拙なんてどうでもいい。
ただ、お願いしているのは
「どんな話題でもいい。皆さんに思いを伝えるよう話してください。」
これだけ。
1分間ってあっという間。
この制限内で伝えようとするのはとても難しい。
だからこそ、まわりのメンバーに伝わるよう自分なりに推敲する。
この行動がとても意義深いものなのだ。

人は、人前で自分の感じたことを話す機会はそうはない。
でも、それが人に伝わり、人間性の理解につながることは素晴らしいことだ。
話して終わりじゃなく、感想をフィードバックして終える。
そして少しずつ人となりに触れていく。
僕だけじゃなく、社員全員が話し手の社員に触れていく。
その交互理解を自然に深めていくことは
気持ちを揃えるためにも大切な儀式なのだ。

さて、次の着手は挨拶だ。
これについてはまた導入後に検証することにしよう。